元気なうちに作っておきたい公的書類

自分に万一のことがあったとき、自分自身や大切な人の生活を守るため、公的な文書を残しておくことが大切です。ここでは、元気なうちに作成しておきたい4種の公的な文書をご紹介します。

  1. 財産管理等の委任契約書
  2. 任意後見契約書
  3. 尊厳死宣言書
  4. 公正証書遺言書

1. 財産管理等の委任契約書

身体が不自由になり寝たきり状態になると自分のことができなくなります。
判断力はあるのに身体が動かない。そのような状態になった時に役に立つ書類です。
信頼できる相手に財産管理や療養看護の手続きを任せることができます。

2. 任意後見契約書

病気や精神障害などで、判断能力が著しく低下した場合に備えておく制度です。判断能力のあるうちに、世話をしてもらう相手(任意後見人)をあらかじめ決めておきます。

判断能力が低下したら、日常的な行動ができなくなり、生活にさまざまな支障が出てきます。そのような人を守るための制度として「任意後見制度」があります。

この契約は作成日からすぐに発効するわけではなく、判断能力が低下した際に契約の効果が生じます。場合によっては一生必要としないこともあります。痴呆が進んだと思ったら、家庭裁判所に申し立てをします。家庭裁判所が選任した任意後見監督人が任意後見人の仕事をチェックします。

3. 尊厳死宣言書

末期状態や脳死状態になった時、ただ命を引き延ばすだけの延命措置を希望しないとき、その意思を表明しておきます。

あなたが病気になって、医師から余命が告げられとします。だんだん体力がなくなり投薬などの延命治療が施されることになりますが、本人にとってそれが正しいのか正しくないのか、薄れゆく意識のなかでは判断が付きません。もしもあなたが延命治療を拒否し、尊厳死を希望するならきちんとした書類が必要です。

「尊厳死宣言書」には、その理由、家族の同意、医師に対する免責事項等を記載しておきます。後々問題になりにくいようにするために、公正証書を作成するのがのぞましいですね。

気持ちが変わったら撤回することもできます。そのときは公正証書で撤回の意思を伝えます。

【作成例】 尊厳死の宣言書

4. 公正証書遺言書

遺言には、自筆証書遺言と公正証書遺言がありますが、当サイトでは公正証書遺言書の作成をお勧めしています。理由は次の通りです。

  1. 作成時の費用はかかりますが、公証人が作成するので不備がありません。
  2. 遺言執行者を誰にするか記載するので安心です。
  3. 原本は公証役場で保管されます。
  4. (遺言者が死亡したら)検認不要で、遺言執行の手続きをとることができます。

自筆証書遺言書とは(自筆証書遺言の作成時の注意)

  1. 自筆のみ有効です。(パソコンやワープロは無効)
  2. 正確な日付を書くこと
  3. 署名を忘れずに
  4. 印鑑はなるべく実印で(遺言者が死亡し自筆証書遺言書を発見したら)
  5. 遺言書は開封しない
  6. 家庭裁判所で検認の申し立てをする
  7. 検認を受ける

遺言執行までの手間がかかります。